「――ろ、起きろ、オイ、銀時ィ、起きろっつってんだろ」
「んー…」
聞き覚えがある声、ペチペチと頬に何かが当たる感覚に銀時は目を開けず眉間に シワを寄せた。
「うるせーな。まだ眠ィんだよ。鬱陶しい。邪魔」
「ぅわっ…!」
しかめ面のまま顔に触れるものを確認もせず手で振り払い寝返りをうつ。
何かが頭の後ろで転がるような気配がしたが今の銀時にはそんなものはどうでも よく、頭まで布団を引き上げた。
「いってーな。てめぇ何しやがんだ。おいコラ、いい加減起きろっ!その白髪引 っこ抜くぞ!」
「痛い痛い。ちょっ、も、マジ邪魔だっつの」
髪の毛を容赦なく引っ張られ、銀時は先程より強くそれを振り払った。また何や ら声があがる。指先に触れたのは布のような感触だが、ほんの少し重みがあって 何か固体のようだ。
振り払ったそれは戻ってきてまた髪を引っ張り始める。
いい加減寝起きということも相俟ってイラついた銀時は手探りで探し当てたそれ を思いきり掴んだ。
「ふぐ…っ!」
「ったく朝っぱらからなんだっつー…の」
まだ側にいたいと離れようとしない瞼をこじあけて掴まえたものを銀時は見つめ た。そして目を疑う。
「…あ?」
「くっ、おい、キツいんだよ!放せ!」
銀時の手の中にいたのは、掴まれて苦しそうにじたばたと暴れる10cmサイズの高 杉だった。